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「大丈夫です」という柔らかな拒絶

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四半世紀前に一般的になって、意味が真逆になった言葉がある。

「全然大丈夫です」の枕に付いた "全然" だ。

元々は"まるで"と同義語で、「全然ダメだね」などと否定の意味の言葉と一緒に使われていた。しかしいつの間にか、肯定する場面で使われる事が定着したように思う。

さらにここ5年くらい前から、下のフレーズの「大丈夫」という言葉も大きく変化が始まっていると感じている。

 

もちろん相手を気遣った「大丈夫ですか?」や、問題ない時に使う「これで大丈夫」などはこれまで通り。
気になっているのは、構わないでほしい意思表示に使う「大丈夫です」が広く使われ始めていることだ。

明らかに「NO」の意味が込められていて、関わりたくない明確な意思を感じる使い方だと思う。
つまり本来は「OK」の意味だったはずが「NO」へと変化しているわけで
一見すると相手を気遣っているような言葉なのに、本来の意味とは違う"拒絶"のニュアンスが生まれ始めていると思う。

 

拒絶なら「いえ、折角ですが結構です」などの断りの言葉、
相手を気遣う意味なら「ありがとう、でもおかげさまで大丈夫です」と何故言えないのだろう。言葉の意味が移り変わるのは仕方ないけれど、言いやすいフレーズでコミュニケーションを投げ出してはいないだろうか。

 

「OK」と「NO」の移り変わりをビジュアル化して考えていたら縦読みしてしまい
マウント「ON」して相手を「KO」する格闘技のロゴに見えてきた。

 

社会生活が潤ったりや渇いたりするのは、
案外こんな言葉使いから始まるのかも知れない。