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「花」か「実」か

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明日、新潟市からFM局が消える。

総務省発表によれば、全県域網羅の地方FM局としては異例だそうだ。

 

今から約20年前に誕生したこのFM局、開局によく知る先輩が携わっていたこともあり、また仕事仲間がプログラムを持っていたりと好意的な印象を持ち続けていた。
今まで楽しませてくれてありがとうという気持ちと、どうしようもない残念な気持ちが入り混じっている。

このスポンサー企業の一覧を見ていただきたい。

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新潟県に縁がある方がみれば、スポンサードの大小はあれどほぼオール新潟体制だという事が理解できると思う。
県内の主だった企業が揃っているにも関わらず支援しきれなかったこの状況から、ある意味新潟の「文化イデオロギー」の本質が透けて見えてくると考えている。

2003年頃からの累積債務が約11億(債務超過5,700万)と報じられていること、資本金が10.6億であることから、新潟トヨタ(関連会社NTA:筆頭株主52.2%)、中越運送(同20.4%)が中心となって協議した結果なのだと思う。ここで注目したいのは年間で約5~6,000万づつ積みあがった債務額だ。

この金額、実は1年ほど前にも文化的なニュースで取り上げられたことがある。

それは新潟市の芸術事業であるノイズム(Noism)運営事業の公的支援額だ。

ノイズムは新潟市が半ば雇用しバックアップする舞踏ダンス集団であり、2005年の発足以来年間活動費15,000万の1/3を公的支援で賄ってきた。市の人的バックアップ経費を含めると寄付金と借入金という違いはあるにせよ、FM PORTの債務額とほぼ同水準だ。市の財政に余裕が無くなった事、昨年市長が変わったことで支援の是非が今も問われ続けている。おそらくこのままでは2022年からの再延長や新規大口パトロンの発掘は厳しい状況だ。

 

効果の見えない文化活動に果たして未来はあったのか。
夢や希望を生み出せたのか。
そして私たちは何を得て、何を愛したのか。

 

より広くあまねく文化を発信するFMラジオ
より深く個人に向けて文化を伝えるダンス

まったく立場の違う文化活動への新潟県民、新潟市民の関わり方を一人一人が見つめ直す試練だと思う。「花」を愛でるのか「実」を採るのか、答えは片方でもないし、永遠に出ないかもしれない。


今回のFM PORT停波、共通して突きつけられた課題はとても大きい。