恋はあせらず
東京で見る夕焼けは乱立するビルディングのスリット越しのせいか、いつもよりコントラストが強く感じる。
華やかなきらめきと底なしの闇が同居するような冷たい夕焼けだ。
ここ千住新橋は都会の喧騒から少し離れた日光街道沿いにある。
4号線が走っているだけあって車の往来が途絶える事はないのだろう、古い設計ながらすでに立派な専用の自歩道が付いている。ただし両岸は都内有数の低湿地だったので、高い堤防そして橋との落差がひときわ大きいポイントだ。
このあたりの荒川は元々放水路として開削されたと聞く。設計川幅は500ｍというから、いかに大量の水を東京湾に流すかを考えられて作られているし、その名残が河川敷の広さに繋がっているのだろう。
何事もゆとりが大切だ。
ゆとりが余裕を生み、豊かさにつながる。
焦る日々とは今日限りにしたい、いつもそう思っているけれどなかなかうまくいかない。
これも人生なのだろうか。
通りゆく車からシュープリームスの歌声が聴こえている。
